ものもらい(霰粒腫・麦粒腫・眼瞼炎)

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)とは

ものもらい俗に言う「ものもらい」「めいぼ」「めばちこ」などの疾患ですが、医学用語では「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と呼びます。
「ものもらい」という俗称から他人に感染するのではと考える方もいらっしゃいますが、皮膚表面の常在菌によって発症するため、感染することはありません。

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)の原因

皮膚表面の常在菌(表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌など)によって生じます。免疫が落ちている方は発症しやすいので注意が必要です。特に、夏場の高温多湿な時期は細菌が増殖しやすいため、睡眠不足や夏バテで抵抗力が落ちていると、感染しやすいと言われています。
感染を防ぐためには、できるだけ目の周りを清潔にして、触らないようにすることが大切です。コンタクトレンズを使う方は消毒を徹底し、使用期限を超えて使わないようにしましょう。また、睡眠不足や疲労によって抵抗力が落ちるため、食事・睡眠・休息は十分に取ることをお勧めします。

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)の症状

まず、かゆみが起こり、その後はまぶたに赤い腫れが見られます。指で押したりまばたきをする時に痛みが起こります。悪化するとまぶたの全体が腫れ、目のかゆみ、目やに、赤み、ゴロゴロする違和感などが起こります。
自然に膿が排出されて腫れが解消することもありますが、深刻な状態になることもあるため速やかに当院までご相談ください。

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)の治療

発症初期に目を清潔にすることで重症化せずに完治したり、自然に膿が排出されて治癒する場合もあります。
しかし、重い症状(目やにが多い、まぶたの腫れや痛みが強いなど)があれば、受診していただくことをお勧めします。抗生物質の点眼治療を5日〜1週間使用することで治ることが多いですが、重度の炎症があれば抗生物質の内服治療を行います。
受診した時に既に膿が溜まっている場合は、膿の排出をすることがあります。膿を出すことで症状は落ち着きますが、ご自身で無理に膿を出すことは厳禁です。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)とは

霰粒腫とは、マイボーム腺の脂腺に脂質成分が詰まって閉塞し、肉芽腫というできものが生じる疾患のことです。患部に感染が起こると霰粒腫は麦粒腫と同様に痛みを感じます。そのため、発症初期には、霰粒腫と麦粒腫の見分けが困難なこともあります。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)の原因

まぶたの内側のマイボーム腺の排出口が閉塞することが原因となります。具体的には、疲労、生活習慣の乱れ、ストレスによるホルモンバランスの乱れ、アイメイクによるマイボーム腺の閉塞、高脂質な食事などによって起こります。なお、霰粒腫は生涯で1度も発症しない方もいれば、度々発症する方もいらっしゃいます。
また、麦粒腫がまぶたの奥にある腺で生じることも稀にあります(内麦粒腫)。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)の症状

まぶたの一部にできものが生じますが、麦粒腫のように痛みの起こることは少ないです。ただし、できもので細菌感染が起こると、痛みや腫れの症状が現れます。
麦粒腫は腫れが治まるとできものも消えますが、霰粒腫は痛みや腫れが治まってもできものが残り続けることが多い傾向にあります。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)の治療

霰粒腫は特に治療しなくても治癒する場合もありますが、赤みや痛みがあれば抗菌薬の点眼治療をします。できものが生じているだけで痛みはなければ、軟膏やステロイド点眼薬を使って治療しますが、できものが消えない場合もあります。
気になる方には手術で内容物を取り除くことも可能です。